南ヨーロッパの旅で「なぜポルトガル?理由を探す旅と旅をする理由」
目次
なぜポルトガルなのか?理由を探す旅へ
学生時代から、思いついたところを
思いついたままに旅してきた。
行ってみたい場所は限りなくあって、
行き尽くすことはできない。
だから、同じ場所を何度も訪れるなんて、
考えもしないことだった。
ところが、出会ってしまった。
何度も繰り返し訪れたくなる国。
それがポルトガル。
初めて訪れてから数年間の間に、
私は4回も訪れることになる。
周囲に「また?!」と驚かれ、
自分なりになぜなのかを考えたりもした。
でもしっくりくる答えは見つからない。
だって「行きたいものは行きたいんだもん」
としか言いようがない。
懐かしいのは食文化のせい?
(パステル・デ・ナタは日本で食べるエッグタルトとは似て非なるもの。)
なぜポルトガルに行きたくなるのか、
理由を探すために何度も訪れたのかもしれない。
例えば、食べ物のせいかなと思ったりもした。
魚介類が豊富で日本に似ている所がある。
素朴な味付けで庶民的。
そしてどこか懐かしい味わい。
旅の中で食べ物は大事。
でも、それだけが理由じゃないな。
濃いコーヒーに甘すぎるお菓子。
ポルトガルは「カステラ」の故郷と言うけれど、
現在のポルトガルに「カステラ」という
お菓子は存在しない。
「カステラ」は日本のお菓子だ。
「カステラ」の原型とい言われているのが
「パォン・デ・ロー」というもの。
中が生焼けの状態のスポンジケーキ
のようなお菓子で、
見た面は大きなプリンのような容器に
入っていて、砂糖と卵の味がする。
味わいは素朴で洗練はされていない。
でもどこか懐かしく、魅力的な味がする。
上の「パステル・デ・ナタ」も同じ。
日本でいう「エッグタルト」のことだが、
素朴でどこか懐かしく、
中から出てくるドロッとしたクリームが
なんとも言えない懐かしさ。
でも、これがポルトガルに行く理由ではない。
縁もゆかりもないはずなのに……
何度かの旅をしているうちに気づいたのは、
「懐かしさ」というキーワード。
それは、食べ物だけではない。
何を見てもなんだか懐かしく感じる。
ポルトガルに縁もゆかりもないのに。
街並みも、電車も、人々も、食べ物も、
どうも「はじめまして」の気分じゃない。
何度目かのポルトガルでは、
田舎の方へ足を延ばしてみた。
リスボンからバスで3時間。
静かすぎて落ち着かないほどの静けさ。
私は都会の生まれ育ちなので、
ポルトガルの田舎が懐かしいと思う
自分の感情がうまく説明できないが、
やっぱり「懐かしい」のだった。
だからと言って、
それだけが理由でもないのだけれど。
旅をすることは
何のために旅をするのか。
旅することそのものが目的なので、
理由なんていらないんだけど、
世界の中には理由なんて関係なく、
なぜか惹かれる場所や物や空気がある。
そんな場所や物や空気を探しに
旅に出るのかな。
ポルトガルは、
旅することは暮らすことの一部だと
教えてくれた場所だった。