イタリア フィレンツェでホームステイの旅「静かな存在感!ルッカに寄り道」
2010年8月
イタリア・フィレンツェでホームステイ。
大人になってからのホームステイは、
十代のころとは違う楽しみがいっぱい。
大好きな街で新しい発見の連続に忙しい。
目次
ルッカの路地に響く音
この日は、友人を訪ねると言う
ホストマザーの車に便乗。
目的地はルッカの郊外だ。
距離にある、美しい城壁に囲まれた都市だ。
トスカーナ州の北部に位置しており、
旧市街の城壁が見事に残る街。
郊外の友人宅へ行くホストマザーの車を
旧市街の入り口で降りて、
美しくも庶民的な街に入り込む。
夏のトスカーナはほとんど雨が降らない気候だが、
この日は朝から曇りがち。
ルッカに到着したころには、
パラパラと雨が降ったり止んだり。
雨は街の色を濃くする。
夏の日差しで、
すべてが明るくなるイタリアもいいけど、
雨に洗われて本当の色を取り戻す瞬間も美しい。
歴史が匂いたつようなルッカの路地は、
しっとりとしていて、
石畳を叩く自分の足音が響いた。
街々で雰囲気の異なるドゥオーモ
ルッカの歴史は古い。
ローマ時代の遺跡も残る。
12~13世紀に建築されたロマネスク様式の
建物もいくつも残っている。
イタリアの街をめぐると、
その街ごとのドゥオーモの違いがおもしろい。
ルッカのドゥオーモは、
ルッカのドゥオーモは、
ちょっと不思議な形だ。
ロマネスク様式で11~13世紀に建てられた聖堂は、
その後にゴシック様式につくりかえられた。
でもファザードはロマネスク。
時代の中で様式がつくりかえられるというのは、
イタリアではそんなにめずらしいことではないが。
正面には大きなアーチが3つ。
その上にアーチがいっぱい並んでいる。
あれあれ……?
よーく見ると左右対称じゃない!
正面から見るとアシンメトリーなのだった。
まるで、だまし絵のように。
右側は鐘楼に食い込んでいるようにも見える。
アシンメトリーなのに離れて見ると
何の違和感もないのが不思議。
ホストマザーは、
「イタリア人はいい加減だから、
思いつきでそうしたんでしょう」と
冗談っぽく楽しそうに説明してくれた。
ただ古いのではない魅力
ただ古いのではない魅力があるルッカの街。
地層のように幾重にも重なる時代の文化が、
どころどころ表に顔を出している。
ローマ時代のものと、中世の雰囲気と、
さまざまな時代が並列するような街。
ドゥオーモからフィッルンゴという
美しい通りを進むと、
ひときわ印象的な広場に出る。
アンフィテアトロ広場と呼ばれるその広場は、
ローマ時代の円形闘技場の跡地だ。
まあるい形。かつての闘技場に今立っている。
この広場は、メルカート広場とも呼ばれている。
メルカートとは市場のこと。
ローマ時代はきっと人々が集まって
歓声をあげていた場所は、
街の経済の中心地になっている。
広場に面した建物はカーブを描いている。
庶民的な雰囲気に優美な建物があふれている。
静かで落ち着いたルッカの街。
こんなにすごい歴史を持った街が、
なんでこんなに普通の顔をして、
控えめに存在しているのか。
驚きとともに、そのままでいて欲しいという気持ち。
それは、きっとまた来ようと思っているからだ。