イタリア フィレンツェでホームステイの旅「心がふわっと軽くなるサンマルコ美術館」
2010年8月
イタリア・フィレンツェでのホームステイ。
たまたま滞在したお宅は、
フィレンツェ近郊の広い敷地を持つお屋敷だった。
貴重な体験、大人のホームステイを満喫中。
目次
生のイタリア語
イタリア語の習得はなかなか進まないが、
ホストファミリーやその友人たちと
たくさんの出会いがあって、
生のイタリア語をたくさん聞くことができた。
イントネーションやイタリア語特有の間。
耳で聞くイタリア語には事欠かないこの時間も、
日本へ帰ると再現するのが難しい環境だ。
サンマルコ美術館へ
何度か滞在したことのあるフィレンツェ。
観光よりも暮らす旅を選んだ今回の滞在。
イタリア・フィレンツェでのホームステイも、
残り一週間となったこの日。
どうしても行っておきたい場所へ向かう。
サンマルコ美術館。
フィレンツェを訪れるたびに来たくなる場所。
中心地から徒歩で十分歩ける距離なのに、
あたりはとても静かだ。
まずは教会の中へ。
教会の雰囲気も好きだ。
厳かで豪華な祭壇なのに、神々しさはあまり感じない。
どちらかというと庶民的な感じ。
緊張感ではなくホッとする感じだ。
いよいよサンマルコ美術館へ。
入るとすぐに現れるのは優美な回廊。
サンマルコ美術館は元修道院を利用した美術館。
教会に併設されていた修道院だ。
この回廊をここで暮らした修道士たちが
行き交っていたころと、
きっと何も変わっていないのではないだろうか。
フラ・アンジェリコの色彩に包まれる
サンマルコを訪れる最大の目的は、
フラ・アンジェリコの作品を観るためだ。
初めてここを訪れた時の衝撃は忘れられない。
当時は、宗教絵画にもさほど興味がなく、
キリスト教の教会やヨーロッパの美術館で
何度も出会っていたのに、
「受胎告知」という欠かせないテーマを
意識したことはなかった。
そんな状態で出会った、
フラ・アンジェリコの受胎告知。
それは、知らないうちに私たちを
階段の上から見ているのだ。
フラ・アンジェリコは修道士だ。
画家ではなく、キリスト教に仕えた
敬虔な修道士だったのだ。
決して上手くない筆運びだが、丁寧な仕事。
職人とも違う、画家とも違う。
受胎告知というポピュラーなモチーフだが、
こんなガブリエルは他では見たことがない。
やわらかくて優しくて、
マリアの不安を払拭しようとするような
美しいまなざし。
心がほどけるような気持ち
今回もサンマルコ美術館を訪れて、
心がほどけるような気持ちになった。
私はキリスト教徒ではないが、
ここに来ると、
ふわっと心が軽くなるような気持ちを感じる。
そして運が良ければ、
こんな窓からの眺めも見ることができる。
やっぱり訪れてよかった。
きっと私はまたここに来るのだろう。
きっと一人で。