「暮らすように旅したい!」 旅のあれこれ ariruariru

勤め人ですが心は旅人。ヨーロッパ中毒気味。「言葉」が大好き。

旅に出られない旅人はどうなってしまうのか<その32>「雪の飛騨高山を歩いた不都合で愛おしい旅」

今日は「旅に出られない旅人はどうなってしまうのか<その32>」。

岐阜県の高山を訪れた、かつての旅を思い出しています。


目次

 

雪の飛騨高山

もうずいぶん昔の旅だ。

2012年冬。

高山駅に着いたとき、雪が舞っていた。

f:id:ariruariru:20210130130521j:plain

岐阜県高山市、飛騨高山。

何度か行ったことのある街だが、

この旅の、雪が舞う高山が印象的。

 

江戸時代初期に高山城を中心に栄えた

城下町の面影は、こんな天候の日の方が

よりくっきりと浮かび上がるのかもしれない。

 

高山駅からまっすぐ東に歩くと、宮川へ出る。

何本かの橋で対岸と結ばれているのだが、

なぜか私はこの柳橋がとても好き。

f:id:ariruariru:20210130130527j:plain

なぜだかわからないけど、必ずこの橋を渡る。

もっと昔、初めて高山を訪れたひとり旅の時、

この橋へ続く道の途中の宿をとったので、

その懐かしさもあるのかもしれない。

 

橋を渡ると、かつての城下町・商家町の面影が

色濃く残る、さんまち通りだ。

昔ながらの建物を利用した店が並ぶ、

風情のある通り。

f:id:ariruariru:20210130130534j:plain

この日はとても寒くて、しんしんと冷える。

雪の降りはますます強くなる。

雪は水分が多くて、足元はじゃりじゃりと滑る。

靴が濡れて、靴下にまで冷たさが伝わっている。

折り畳みの傘はサイズが小さくて、

普段よりも肩が濡れる。

 

不都合なことばかりだ。

 

旅人にとっては旅に向かない日。

でもそんな旅が今は懐かしい。

なんなら、そんな旅の方が懐かしい。

f:id:ariruariru:20210130130543j:plain

 

不都合な旅が懐かしい

冬のパリっとした冷たく尖がった空気を

頬に感じながら歩く旅が、もちろんいい。

例えば、2019年年末の倉敷。

f:id:ariruariru:20210130131627j:plain

天気はいいけど、とても寒かった。

冬の朝のパリっとした空気。

旅先で感じると気持ちいい。

 

例えば、2018年の年末を過ごした鹿児島。

冬の朝の桜島を。

f:id:ariruariru:20210130144642j:plain

宿泊していた城山ホテルより。

朝の冷たい空気を感じながら、

目を開けるのがつらくなるほどの強烈な日差し。

それに抗って眺める桜島

 

でも、なぜだろう。

気持ちのいい旅の思い出よりも、

都合の悪い旅の思い出の方がより鮮明に、

懐かしく感じるのは。

 

愛おしい旅

2012年の飛騨高山。

雪の高山陣屋を訪れた。

f:id:ariruariru:20210130141508j:plain

f:id:ariruariru:20210130141543j:plain

 

こんな日に御白洲を見たら、

「どうかご勘弁を、、、」という気持ちになる。

さぞかし砂利は冷え切っていることだろう。

f:id:ariruariru:20210130141527j:plain

 

雪で重くなった折り畳み傘を下ろして、

ちょっと一息つく。あぁ、寒い。

f:id:ariruariru:20210130141529j:plain

しんしんと雪が降る光景をぼんやり眺める。

全国でもここだけという、江戸時代の

陣屋の建物がそのまま残る貴重な場所。

 

靴下の替え、持ってきてないんだよなぁ。

こんなに雪が降っているとは予想外。

宿に着いたら、靴下と靴を暖房で乾かそう。

次の旅に出る前に、もっと撥水性の高い

折り畳み傘を買おうかな。

いや、防水スプレーをもっと入念に

振りかけてくればよかったのだ。

 

歴史的な建物でこんなことを考えていた。

ふと連れの友人が、温かい飲み物でも

飲みに行こうかと誘う。

そうだ、そうしよう。

 

「旅」としては不都合なことが多い旅ほど、

愛おしいのかもしれない。

そしてこの旅は、この後、

カメラの調子も悪くなり、

旅の後半の写真のデータがとんでしまった。

 

あぁ、ますます愛おしい、

愛おしい、旅よ。

 

にほんブログ村 旅行ブログ ヨーロッパ旅行へ
にほんブログ村  


にほんブログ村

にほんブログ村 旅行ブログへ
にほんブログ