冬のイタリア「ひとりで滞在するフィレンツェ旅!雨のサンジミニャーノを歩く。素敵な雨宿り」
2011年12月
この年の年末、急に思いたって向かったイタリア。
大好きなフィレンツェにただただ行きたくて。
自由で気ままな冬の旅をふりかえります。
目次
塔からの眺めの余韻
この日はフィレンツェを離れてちょっと遠出。
バスをについでやってきたのは、
丘の上にひっそりと佇む町、サンジミニャーノ。
ポポロ宮の塔の上からの眺めを楽しんだあと、
裏口から出ると、そこにも素敵な風景。
塔から街を眺めおろしていた余韻にまだ浸っていて、
体がなんだかふわふわしている。
ポポロ宮の中庭はとてもかわいらしい感じ。
塔からの眺めは最高だったな。
改めて塔を見上げてみる。
雨のサンジミニャーノ
ポポロ宮を出てしばらくすると雨が降ってきた。
この日は本当に忙しいお天気だ。
ドゥオーモ広場に面したお店に入って、
雨宿りしながらお買い物。
土産物屋かと思って立ち寄ったお店は、
写真やアート作品を扱うギャラリーだった。
静かな店内に雨の音が響いている。
私以外、客はだれもいない。
店員も無言で仕事をしている。
なんか、この時間が永遠に続くのかと思うほど、
居心地が良く、過去にも味わったことがあると錯覚する空間だ。
店の目の前はドゥオーモ広場。
ドゥオーモもポポロ宮もしっとりと濡れて、
さっきまでの色合いとは違う。
がらりと印象も違う。
雨に濡れた石畳の通りが美しい。
みんな雨宿りをしているのか、
歩く人が少なくなった通りは、
より一層、中世の趣きに近づいた感じがした。
雨が降り始めてしばらくすると、
さらに気温がぐっと下がった気がする。
もう手がかじかんできて、身震いする。
14の塔を探して
でも雨の街歩きも楽しくて、ぐんぐん歩く。
かつては70以上あったという塔。
今残されている14の塔を探しながら歩く。
狭い通りには、昔ながらの建物に商店などが入っている。
どこもこの町の雰囲気を壊さない趣きを保っている。
14の塔のうち、おそらく7つくらいを
もうすでに見上げただろう。
少し雨が激しくなってきた。
ちょうどそんなタイミングで、
フィルムカメラのフィルムがきれる。
素敵な雨宿り
せかせかと雨の通りを歩いていた時、
ふと通りすがりに見つけたのは小さな教会。
ちょうど雨が少し激しくなってきて、
フィルムカメラのフィルムも交換したかったので、
少しお邪魔することにした。
そこは、だれもいない、私だけの空間。
フィルムを交換して、しばらく座って休憩。
雨の音しか聞こえない。
雨はだんだん激しく降ってきたことが耳でわかる。
教会の中もしんしん寒いが、風がないだけ
外よりも暖かく感じた。
一度座ってしまうと、なんであんなに雨の中を
せかせかと歩いていたのか、
自分がすこし滑稽にも思えてくる。
こんなに小さな町、もっとゆっくり見て回ればいいのに。
いや、せっかくのひとり旅なんだから、
見たいものを見たいスピードで好きに見ればいい、とも思う。
そんなことをひとりで考える。
しばらくすると、雨がほとんど上がったようだ。
それも耳でわかった。
教会の外へ出てみると、まだ小雨は降っていたが
あたりはすこし明るくなっていた。
素敵な雨宿り。
素敵な雨宿りの時間と空間。
サンジミニャーノで過ごした数時間の中で、
この教会で過ごした雨宿りの時間は、
印象的で大切な時間だった。