フランス&スペイン旅「ワインとバスクの旅へ!ゴーギャンにゴッホそれぞれの魅力<パリのオルセー美術館>」
2019年8月
この夏は、友人との2人旅。
フランスのパリから入って、フランス・ボルドー
大西洋側を南下する計画だ。
まずはフランス・パリに1泊、ボルドーに3泊。
その後は陸路でスペインのバスク地方へ。
そして最終目的地はビルバオ。
2週間のワインとバスクの旅へ。
目次
旅情も感じながらの美術鑑賞!
この日は、パリを代表するオルセー美術館へ。
ところ狭しと作品がならぶ印象派ギャラリーをいったん抜けて、
美術館全体を眺めてみる。
元々は駅舎だった建物を利用しているため、
気持ちの良い大空間が広がっている。
それでも昔に比べると駅舎感は薄まったように思う。
数年前の大改修で、オルセー美術館は大きく生まれ変わった。
初めてオルセー美術館を訪れた時は、
もっと駅舎感が強くて、駅舎に美術作品を飾っているように思った。
でもその印象も今では怪しいものだなとも思う。
その時の私は二十歳前後の大学生。
海外の美術館を訪れた経験もなく、
美術作品に対する知識も少なかったからだ。
その後何度かパリを訪れて思うのは、
初めて訪れた時の強烈な印象は
今でも色濃く私の中にあるということ。
第一印象って本当に大事だ。
さて、少し遠くを見つめて目を休めたら、
またまた有名作品の渦の中へ。
魅惑の色彩!ゴーギャンの世界へ
ゴーギャンの作品は、学生時代に教科書で見たことがある。
でも正直なところ、インパクトはあるけどその良さについては
なかなか理解しがたい感じだった。(素人考えですみません……)
しかし!
初めてオルセーで、本物の存在感を目の当たりにした時、
思わず声を失った。
その色の美しさ、オリジナリティに圧倒されたのだ。
まるで小さい子どもが絵具やクレヨンを画一的に塗ったような
単純な色彩と形態なのに、なぜか精神的な深みがある。
本物を観たら、たぶんだれもがゴーギャンの虜になるだろう。
本物を見た時の感動が大きい画家のひとりだと思う。
なんといっても外せない!天才ゴッホのなせる業
★ゴッホ「自画像」
ゴッホの自画像はたくさんあるが、
オルセー美術館の自画像は爽やかな感じ。
でも、この作品はゴッホが精神を病んで
耳を切り落とした翌年に描かれたもの。
★ゴッホ「オ―ヴェルの教会」
昔、頂き物で実家にあったカレンダーにこの絵があった。
目が釘付けになる空の色。
だれをも寄せ付けない不気味な感じを醸し出している。
こちらも耳を切り落とした後の療養生活で描かれた作品だ。
オランダを旅した時、たくさんのゴッホ作品を観た。
初期の重苦しい形態と色彩のもの、いかにもオランダ絵画らしいもの。
その後パリに出ると、明るい色彩に転じる。
ゴッホの作品を観ると、
その人生そのものを観ているような錯覚に陥る。
続々と出てくる!名画の数々に酔う!
★セザンヌ「オ―ヴェルのガシェ医師の家」
セザンヌが描いた、オーヴェールにあったガシェ医師の家。
ガシェ医師はゴッホの主治医で有名だった人。
絵画愛好家であったガシェ医師は、
セザンヌや他の画家とも親交があった。
セザンヌはフランスの画家。
パリに出て印象主義的作風になったが、
その後は印象主義を否定して、独自の作風を確立していく。
幾何学的形態に基づく構成を重んじる作品。
大きな影響を与えたといわれる。
★マネ「菫の花束をつけたベルト・モリゾ」
オルセー美術館を訪れた時、ちょうど企画展は
この絵のモデルになっているモリゾだった。
モリゾは、裕福な家柄のお嬢さんだったが、
画家を志していた19世紀の女性。
当時、社会的な地位のある上品な女性が
画家になる道はほとんどなかった。異例の女流画家なのだ。
やがて、マネの目に止まり、モリゾはマネの肖像画のモデルになる。
オルセー美術館の企画展は、
ものすごいボリュームなので行く前には要チェック。
★ミレー「落穂ひろい」
このもの悲しい作品。今は明るい場所に展示されている。
初めてオルセーに来た時、私の記憶では、
この作品は薄暗い1階の通路のようなところに展示されていた。
どんな意味のある作品か、その時は知らなかったけど、
生活の厳しさや寂しさのようなものをこの作品をから感じた。
「落穂ひろい」とは、農家の収穫の風景ではなく、
貧しい人に施しを与えるという意味があるそうだ。
落穂ひろいとは、英語で「gleaning」という。
「少しずつ苦労して集めたもの」の意。
知識と経験を少しずつ集めて改めて観る「gleaning」だ。
そんな知識をもってから観るこの作品。
胸に染み入るような気がした。