旅に出られない旅人はどうなってしまうのか<その31>「寒い寒いと言いながら、冬の旅に出たい」
今日は「旅に出られない旅人はどうなってしまうのか<その31>」。
寒い寒いと嘆いていたら、旅の光景がぼんやりと浮かんできます。
目次
冬の旅に出たい
冬の旅に出たいなぁ。
普段は寒いのが嫌いだけど、
キーンと冷たい冬の朝に、
旅行鞄を持って駅のホームで電車を待つ。
そんな光景、過去にあったかどうか
定かではないが、そんなイメージ映像
みたいなのが頭の中をかすめる。
こんな感じかな。
2013年の冬の旅。
豊岡駅でタンゴ鉄道を待つ。
朝じゃないけど。
暮れ行く駅の光景が、何とも言えず、
冬の旅の旅情を倍増させている。
寒い冬にあったかいところへ向かう旅もいいけど、
今は、寒い冬を満喫したいと思う。
こんな自由に出歩けない制約の時期を過ごしているからか、
寒い冬を、「あぁ、寒い寒い」と
言いながら歩きたいものだ。
寒い寒いと言いながら
寒い寒いと言いながら歩いた冬と言えば、
思い出すのは冬のフィレンツェの朝。
2011年の年末から2012年年始に
滞在した、イタリアのフィレンツェ。
年末が近づいてから突然思い立ったひとり旅。
滞在先のホストマザーからすすめられて、
ペルージャを訪れることにしたこの日。
まだ薄暗い冬の朝のフィレンツェ。
といっても朝の7時半ごろだ。
サンタ・マリア・ノヴェッラ駅へ歩く。
街は静かだ。
清掃の車だけが動いている。
滞在先は中央市場のすぐ近く。
歩いていける便利な場所だ。
この年の冬は、比較的暖かいイタリアだったが、
それでも朝はキンと冷えていて寒い。
まさに、寒い寒いとつぶやきながら歩いた朝。
冬の旅の魅力は
駅の案内板は、昔ながらの暖かい光。
読みにくいんだけど、これがいい感じ。
ホームに立つ頃にはあたりも明るくなってくる。
でもじっと立っていると、足元から冷える。
「キン」と冷えた空気が、「シン」と伝わってくる。
列車に乗り込むと、生暖かい空気。
車窓から見るフィレンツェは、
なんだか知らない街のような気がした。
明け方の空を楽しむことはなかなかない。
こんな風に、旅先から小さな旅に出る時くらいかな。
静かな駅舎、静かな車内。
自分の心の声だけが聞こえてきそうな旅。
そう、冬の旅は夏の旅より静かだ。
どこか、ごまかしのきかない、
何もかもがストレートに見えたり、
感じたりできる気がする。
ひとり旅ならなおさらだ。
冷たい風が吹く季節、
懐かしむのは冬の旅。
冬の旅の魅力をあたらめて感じよう。