≒(ニアリーイコール)を楽しむ言葉の世界<その10>「大好きな旅と音楽とイタリア語【第3章】」
土曜日は、言葉のお話を書いています。
先週土曜日の記事の続き、今日は
「私の大好きな旅と音楽とイタリア語<その3>」です。
その<1>・その<2>はこちら
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目次
行く、歩く、行きましょう、歩きましょう
ようやく「andare」に話をもどす。
イタリアのフィレンツェでホームステイ中の時だ。
(2015年夏のフィレンツェ旅。ステイか旅か、滞在する形態が変わると、街の印象も変わるものだ。)
ホストマザーと過ごした2週間のうちに出会った言葉の中でも、
「andare」という単語は欠かせない。
もちろん、「行く」とか「歩く」という意味の言葉なので、
日常会話では必ず毎日登場する、なにげない言葉の1つだ。
特に一人称複数形の「andiamo」は
「さあ、行こう」とか「行きましょう」とかの意になるので、
幾度となく使う言葉である。
でも、私がとても印象的だった「andare」は、
ちょっと形を変えて「andante」という形で私の前に登場した。
ある朝、車検を忘れたホストマザー
ステイ中のある日、ホストマザーの運転で出かけた朝、
車に乗り込んでから彼女が急に、
「悪いんだけど、車の車検を忘れてたの」と言い出した。
ステイ先の彼女の家は、
フィレンツェの中心地から少し離れた丘の上で、
とても静かな住宅地の一角にあった。
フィレンツェの中心地からは、
バスで15分ほどの便利なところだ。
(2011年のフィレンツェ。中心地から少し歩いたら、もうこんな風景。)
(2011年冬。フィレンツェ中心部のカルツァイウォーリ通りはいつもこのにぎわい。)
彼女と2人で出かける時は、彼女の小ぶりな愛車に
乗せてもらうことが多かった。
車検を失念していたことを思い出した彼女はその朝、
「そんなに時間がかからないから、車検に出している間に
近所でゴハンを食べましょう」
と提案し、もちろん他の選択肢をもたない私はそれにのった。
日本の車検のシステムとはちょっと違うんだなと思いつつ、
そのまま車は車検を受けるため、車検場のような場所へ。
ステイ先から10分ほど走った、行きつけの?検査場のようだ。
暮らしの中で出会った「andante」
車に乗ったまま、車は緩やかなスロープを
くだって地下へ吸い込まれていく。
イタリア人の運転は日本人よりもそうとう荒いが、
彼女の運転はいつも安全運転。
ぐっとスピードを落として、
薄暗い地下の空間へと入っていく。
イタリアの夏はまぶしいので、
地下に入ると急に真っ暗な空間に感じる。
その時、目の前に大きな看板が掛けられているのが見えた。
その看板に書かれていた大きな文字。
それは、「andante!」という言葉だった。
(さらに長くなるので、次回へ続きます。)
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