≒(ニアリーイコール)を楽しむ言葉の世界<その5>「フランスで出会う、フランス語で出会う、曜日と神様」
自分の心を鎮めながら、今日は言葉のお話を書きます。
目次
初めての「旅」はフランスへ
学生時代、アメリカやカナダに短期留学した経験がある。
それは、英語を学ぶことが主目的だった。
海外経験と言えば、もちろんその留学が大きな経験だが、
私にとっての「旅」という形の海外経験は、
留学よりも後のことだった。
(2019年夏。4回目のパリ。)
学生時代に初めて海外旅行した先はフランス。
パリに10日ほど滞在した。
元々はイギリスに行こうとしていたのだが、
直前にロンドンでテロ事件が発生し、
行き先を変更してのパリだった。
英語じゃない外国語と出会って
大学の第2外国語の授業でフランス語を選択していて、
単語程度はわかるつもりでいたのも、
行き先をパリに変更した理由の1つだったかもしれない。
フランス語と出会って知った新しいことが数々ある。
「外国語=英語」だと思っていた私に、
世界の言葉のおもしろさを気づかせてくれたのもフランス語だ。
今でも私の本棚に残されている、こんな本がある。
元来、比較的まじめなタイプなもので、
フランスに旅先を変更した時に購入した、ベルリッツの本。
かれこれ20年以上私の本棚にある、旅の思い出だ。
値段は1200円とある。
当時の私には高かったに違いない。
中には書き込みやアンダーラインがいっぱいで、
今よりもずっと、旅先の言葉を予習しておこうという
意欲が感じられ、懐かしくて新鮮で当時の自分がかわいくて、、、
という1冊。そして若干、現在の反省も。
最近はスマホに頼って、勉強を怠っているなと。
フランスで出会う、フランス語で出会う
私の本棚には、さっきとまったく同じサイズのこんな本もある。
こちらは、フランス旅行の際に現地で購入したベルリッツの本。
フランス語を英語で解説しているものだ。
フランスへの旅で、日本語→英語、英語→日本語という
平面構造しかなかった私の頭の中の言語のスペースが、
急に立体構造になった感じだった。
「曜日」と「惑星」がフランスで出会った
フランス語を知ったことで当時の私に衝撃を与えたこと。
たくさんあるけど今日はその1つを。
それは、「曜日」と「惑星」の出会いだ。
中学校の時に単純に丸暗記した英語の曜日。
火曜日=Tuesday
水曜日=Wednesday
木曜日=Thursday
金曜日=Friday
当時はその語源が何かも、日本語の曜日の語源にも
興味を持つことすらなかった。
高校になると、惑星の名前を丸暗記した。
火星=Mars
水星=Mercury
木星=Jupiter
金星=Venus
フランス語の曜日は、
火曜日=Mardi
水曜日=Mercredi
木曜日=Jeudi
金曜日=Vendredi
何……これ!?
フランス語の曜日は、英語の惑星と関係が?
フランス語を知って、私の中で
英語で学んだ「曜日」と「惑星」が出会った瞬間だった。
言葉は時空を超える万能の道具!
第2外国語として、週に2回2年間も大学で
フランス語を学んでいたのに、
フランス語のおもしろさをフランス旅行に
行くまで知らなかった私。
フランス語と同じようにラテン語から派生した
イタリア語なども、ほぼ同じような曜日や惑星の呼び方を
していることを知った。
そしてそれは元々、古代ギリシャの人々が惑星を神々の名前で呼び、
それをローマの人々がラテン語に当てはめたということも。
つまりは、「曜日」は「神様」だったのだ。
(2013年夏。パリのノートルダム大聖堂にて。神様の存在を感じる空間。)
言葉は、人と人とをつなぐコミュニケーションの道具。
でも、それだけじゃない。
言葉は、時空を超えて古代と私をもつなぐ、
万能の道具であり、文化そのものだ。
言葉をつないできてくれた先人の皆様に
心から感謝したいと思います。
Thank you、 Merci、 Grazie、 ありがとう、Obrigada……
(あぁ、またこの言葉の成り立ちも気になる…。)