フランス旅「モン・サン・ミシェルの日常」
2013年8月
目次
モン・サン・ミシェルで過ごす
モン・サン・ミシェルの島内で一泊。
日帰りの観光客が多い中、
一泊するとさらなる魅力を感じることができる。
日帰りの観光客はパリからやってくることが多い。
パリからは3時間半以上かかるため、
朝晩のモン・サン・ミシェルには人混みがない。
風の音と波の音で満たされる、
そんな時間が流れている。
「ラ・メール・プラール」に泊まった。
モン・サン・ミシェルでは有名な老舗ホテル。
部屋の窓からは修道院の建物が見える。
このホテルはレストランのオムレツが有名。
昔、命からがら訪れた巡礼者に、
栄養をつけてもらうためにふるまわれたのが
始まりという。
今でも昔ながらの方法でオムレツが作られていた。
でも私はそのオムレツはちょっと失礼して、
現代的な洗練されたオムレツを。
実は「ラ・メール・プラール」のカフェで
出されているオムレツのプレートだ。
グランド・リュと呼ばれる修道院まで続く参道沿いにある。
海が見えるテラス席があって気持ちいい。
ちなみにグランド・リュとは大通りという意味だが、
非常に狭い通りだ。
江の島を思わせる風情だった。
意外と素朴なモン・サン・ミシェル
日本人は世界遺産が好き。
私も含めて、世界遺産という冠に弱い。
そしてモン・サン・ミシェルに、
豪華さや華やかさを求めてくる人が
多いのではないだろうか。
でも、モン・サン・ミシェルは、
決して恵まれた土地にあるわけではない。
海に面した砂州の先にある島。
自然の厳しいところだ。
8世紀に大天使ミカエルのお告げを聞いた司教が
修道院の建築を決めてから、
完成まではかなりの時間を要した。
戦争時には要塞や砦として、
さまざまな形を変えて存在してきた。
ある意味、私は逞しさや強さすら感じる。
海風の影響が大きい。
フランスと言えばワインだけど、
この地方はブドウの生産には向いてない。
そば粉やチーズを駆使して、
食卓をまかなってきた土地だという。
ご当地グルメは魅力的でおいしいけど、
そば粉のクレープにもシードルにも、
この土地の人々の努力や日々の暮らしの積み重ねが
感じられた。
モン・サン・ミシェルの魅力は
フランスの田舎の飾らない素朴な雰囲気。
観光客が押し寄せる世界遺産だが、
観光客がいなくなる朝晩、
波の音と風の音だけに包まれるとき、
その本当の魅力が感じられたような気がした。
大都会パリへ戻る。