スペインひとり旅「アンダルシアの旅 イスラムの香りムンムンのグラナダの夜と絶景」
2012年8月
この夏は、スペインを一人旅。
首都のマドリッドでしばらく滞在を楽しんだ後、
列車でアンダルシアのグラナダにやってきた。
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想像以上に魅惑的な街がそこにはあった。
目次
夜を待って、アルバイシンから
夜9時。絶景を探しに出かけてみる。
シエスタをとったとはいえ、体は重い。
重い足取りでアルバイシンの丘へ。
11世紀、イスラム教徒によって築かれた、
グラナダ最古の街並みが残る地区だ。
地図を見ても迷路のようなので、でたらめに歩く。
とりあえず、上へ上へ。宿の前の道。
いくつかの階段を上がって、振り返ると
アルハンブラ宮殿がオレンジに染まっていた。
まるでライトアップでもされているかのよう。
美しい西日に照らされている。
展望台らしきところを発見。
どんどん輝きを増すアルハンブラ宮殿。
そこからさらにでたらめに歩くと、どうやら
サンニコラス展望台というところに出た模様。
まさにマジックアワー!
すべてが美しく輝く時間。
下にはアルバイシンの家々が見えている。
乾燥したアンダルシアの空は本当にきれい。
信じられない暑さだった日中の気温からぐんぐん下がって、
涼しい風が昼の名残の温かい空気を運んでくる。
もの思いにふけっている間に、どんどん陽の光が弱くなっていく。
「グラナダは瞑想と空想ための街だ」と読んだ詩人がいた
というけれど、その通りだと思った。
そして、なぜこんなにも儚くてもの悲しい気分になるのか。
グラナダを訪れた8月。アンダルシアには熱波が吹き込み、
日中の気温は40度を連日超えていた。
その暑い空気が上空にまだあるような美しい夕景。
さて、真っ暗にならないうちに丘から降りなくちゃ。
美しい光と街にシャッターを切りつつ、
坂道を降りていく。
陽ざしを避ける白い壁がピンクや紫に染まっている。
夢の中をふわりと浮いて歩いているような
変な気持ち。
だれかに化かされているのではないか……。
同じように坂をくだって歩く人を発見。
ちょっと残念なような安心するような。
旅先で感動した黄昏時はこちら
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イスラムの香りムンムンの街
スペインらしいヨーロッパの街並みが広がる一方、
一歩旧市街の中に入ると、ここは本当にヨーロッパなのかと
疑念がわくほどのイスラムの風情が。
これがグラナダの街の魅力だ。
歴史の中の攻防が繰り広げられただろう場所が、
そのまま目に見える形となって残っているのだ。
でたらめに丘をくだると、ふいにアラブ街に出る。
カルデレリア・ヌエバ通り。通称アラブ通り。
クスクスや羊肉の店が軒を連ねる界隈、
日本でもヒットしたタジン鍋などを出す店。
独特の香辛料の香りで満たされている。
急にさっきとは違う、喧騒に包まれる。
異国情緒と言ってしまうのは乱暴だが、
(私にとってはスペインそのものが異国なので)
動悸がドクドクと早くなるような、
目が回るような気分になる。
アラブ街を抜けて、少し遠回りをしてホテルへ。
ホテル近くのサンタ・アナ広場。
多くの人々でにぎわっていた。
昼間の光景とはまた違う。
夜になるとイスラム文化がよりいっそう顔を出す。
文化が溶け合うってよく言うけど、違うと思う
グラナダを訪れてアルハンブラ宮殿に行かない人はいないと思うが、
もちろん、宮殿を擁して発達したからこその
グラナダの魅力かもしれないが。
いろんな文化が溶け合っているけど、
完全に混ざり合ってはいない。
さまざまな部分でそれぞれが顔を出す。
それを目の当たりにした時、歴史的には多くの
悲しいことがあったに違いないと想像するから
もの悲しく感じてしまうのだろう。
でも、もうそれ自体がグラナダの魅力になっているのだ。
疲れた体と、ぐるぐる思いがまわる気持ちを抱えて、
グラナダの夜がゆっくり更けていった。
明日はいよいよアルハンブラ宮殿へ。