旅に出られない旅人はどうなってしまうのか<その40>「とうとう旅に出た旅人が、知らない世界に出会った話」
今日は「旅に出られない旅人はどうなってしまうのか<その40>」。
とうとう、旅に出ましたという話、先週の土曜日の続きです。
目次
更けていく旅先の夜
1年3か月ぶりの旅へ出た。
2021年3月末のこと。
旅と言っても近場のホテルにひとりで一泊。
でもそれは、きっとこの先、
忘れることのない旅になるだろう要素を
存分に含んだものだった。
たった1泊2日の旅。その夜が更けていく。
予約したホテルのフレンチレストランで、
何もかもがちょうど良い時間を過ごした。
「今日は特に夜景がきれいなんですよ!」と
レストランのスタッフが声をかけてくれる。
それが本当でも、たとえ嘘であったとしても嬉しい。
たしかに夜景は美しい。
でもそれだけでなく、スタッフの接客や
心配りそのものに触れるのが久しぶりで、
それが懐かしく、嬉しかった。
旅を堪能している。
そう、きっとこの旅は
忘れられない旅になるんだ。
さみしさと孤独は自由の証
レストランを出てホテルの部屋へ。
エレベーターで一瞬の出来事だ。
また、ひとりの静かな時間。
「夜更かしして映画でも観ちゃおうかな」
これは、旅に来るまでに考えていた、
ホテルステイでの過ごし方のプラン。
でも実際に来てみて実感したのは、
この、ひとりの旅先での静かな時間が
とても恋しかったのだということ。
部屋からの静かな夜景を見ながら、
考えをめぐらすのは翌日のプラン。
部屋に備え付けの、なかなか美味しい
緑茶を噛みしめるように飲みながら、
次の日の過ごし方を考える。
この時間がなんだかとても尊い。
ひとり旅というのは、時にさみしく孤独だ。
でも、そのさみしさと孤独は、自由の証でもある。
翌日何時に起きるのも、どこへ行くのも、
朝食をどうするかも、何もかもが
私の自由。私の勝手。
私は、大人数での旅が苦手だ。
でも、だれかとする旅は、
ひとり旅では味わえないものを
味わえることも知っている。
そして、ひとり旅では
ひとり旅だからこその楽しみが
あることも知っている。
その選択肢から何を選択するかは自分次第だ。
私は時に、さみしさと孤独を選択しよう。
旅先での素敵な孤独の夜に、
改めて思った。
私の知らない世界
翌朝、カーテンを開けた私を待っていたのは、
快晴の空とキラキラ光る海。
静かで孤独な朝がやってきた。
ホテルのビュッフェスタイルの朝食は、
今のご時世どうなんだろうと思ったけど、
混まない時間にサクッと済ませれば、
そんなに不安感はないものだ。
ひとり一つのトングはどんどん使われて
使用済みの場所に積まれていく。
手をかざせば空気がシュパッと出て、
手を通すことができる手袋自動装着機?があったり、
マスクの仮置きができる使い捨ての紙ケースがあったり。
これが今の常識、新しい生活習慣なんだろうか、
長らく家に引きこもっていた旅人を
驚かせる進化があちこちに転がっている。
私の知らない世界がそこに広がっていた。
(続きはまた来週の土曜日に。)