≒(ニアリーイコール)を楽しむ言葉の世界<その15>「ポルトガル語のリズムと郷愁【前編】」
土曜日は、言葉のお話を書いています。
今日は「ポルトガル語のリズムと郷愁<前編>」です。
旅中毒にはなかなかつらい「今」ですが、
また旅に出る日を想いながら書いています。
目次
言葉のリズム
なんだか心地よく感じる言葉がある。
たとえその言葉の意味を知らなくても、
言葉のリズムとか発音とか雰囲気とかで
好きになる言葉がある。
ポルトガル語との出会いもそうだった。
初めてのポルトガル旅で購入した辞書。
子供向けの「ポルトガル語ー英語」の辞書。
旅の終盤に、リスボンの本屋さんで購入した覚えがある。
もうかれこれ20年前のものだけど、
今でもうちの本棚の、一軍席に座り続けている。
ポルトガルの黄色い路面電車
昔、初めてポルトガルを旅した時、
ポルトガルという国の魅力にとりつかれた。
ポルトガルへ行こうと思ったのは、
ほんのささいなきっかけ。
その数年前、スペイン旅行を計画している時に
本屋で物色していたスペインのガイドブックに、
ちょっとだけポルトガルの情報が載っていた。
そのポルトガルの最初のページに使われていたのが、
トラム好きは、このリスボンから始まったと思う。
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その写真がどうしても忘れられなくて、
それから数年後、ポルトガルの旅に行くことになる。
いまでこそ、ポルトガルは日本人にも
メジャーな旅行先になっているが、
当時はスペインのおまけページに
ちょこっと載っている程度の扱いで
情報はかなり少なかった。
もちろん、まだスマホがなかったころの話だ。
ポルトガルに魅せられて
初めてのポルトガル旅は、心に染み入るものだった。
大げさに言ってしまうと、
「ここが自分の故郷だったかも」と
思わせる匂いがあった。
(リスボンの下町アルファマを駆け抜ける黄色いトラム。)
街や人の雰囲気、色合い、そしてポルトガル語の響き。
どれもが、なぜか懐かしい。
その後、何度かポルトガルへ足を運ぶことになるのだが、
とりわけ、初めて訪れた3月のポルトガルは
何を見ても感動で泣きそうな気分になった。
(サンタジュスタのエレベーターからリスボンの街をのぞむ。テージョ川がまぶしい。)
この空気の中で響く、哀愁漂うポルトガル語の響き。
風景を思い出すと、その響きが自分の耳の中で
自動再生されるような気がする。
(来週の土曜日に続く)
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